TOP WATER JUNKY / FAT BOY [Liberal Anglers SP "Orange Wing"]

TOP WATER JUNKY / FAT BOY [Liberal Anglers SP "Orange Wing"]

販売価格: 10,230円(税込)

TOP WATER JUNKY FAT BOY
Liberal Anglers SP ”O.W”

サイズ 70mm
ウエイト 1oz class
3 フッカー

10230yen

数年前、昭和から続く釣具屋で売られていた音波式集魚器という胡散臭いものを手に入れた。
カラクリは簡単。乾電池式の簡易モーターで低周波動を発生させ魚を集めるという代物。
一時は、注目を浴び、多くの釣り人に夢を与えた流行モノだとか。
しかし、あらゆるものが発達したこの時代の釣りに、その姿を見ることはない。
レトロアイテムとしての価値もなく、完全に記憶から消えてしまっているように思える。
ただこの集魚器なるもののルーツは古い。アメリカインディアンは、カニを鉄の缶に入れ、カラカラと音たてさせて鮭をおびき寄せていた。
日本でも鎌倉時代に黒鯛のドンブリ釣りと称する釣法で縄で縛った鉛の鋳物を海底を叩きつけ、その波動で魚を集めていたという。
当時の釣人たちがどれほど理解していたのかはわからないが、これらは完全に魚の側線へのアプローチだと言える。
あらゆる試行錯誤と妄想で積み上げた経験の末たどり着いた手段に間違いはない。
自分の所有する昭和の集魚器の取扱書によると、小魚の群れが発する波動は10デシベルで、その波動が最も側線を強く刺激するらしい。
実際の効力はどうなのかはわからないが、自分はこういう釣具に強く惹かれる。
真面目にこんな得体の知れないものを開発してしまう熱量にとても感心してしまう。
盲目的に釣人に夢を与え、期待を膨らませてくれる釣道具が大好きだ。
現代の釣りは、現実主義すぎて、こういったファンタジーが薄れている。
特にバス釣りにおいてはリアルな定義なんかより、想像的な感覚で向き合う方が絶対に味わいがある。
ブラックバスは、どんな妄想にも十分に応えてくれる素晴らしい魚なのだから。

さて、皆様お待ちかねのT.W.JのFAT BOYが届きました。

1997年の登場から一貫して、バスにも釣人にも一切媚びない風姿のこのプラグ。
1/4世紀もマイナーチェンジを繰り返しながら造り続けられ、今なお、熱狂的な支持が厚い。
完全なる個人的主観だが自分はこのプラグにとても強いファンタジーを感じる。
さらに踏み込むめば、このベイトフィッシュを全く無視したFAT BOYの正体は、先に記した音波式集魚器と同質のものじゃないかと思っている。
全く釣れない日にこのプラグだけに反応があったとか、濁りのきつい日にこのプラグで連発したなどのタフコンディション下での談話や釣果がやたらと多いこのプラグを解釈するにはそれ以外考えられない。
FAT BOYが起こす独自の水流の変化とフックやブレードの干渉がうまい具合に交わった時、10デシベルの波動が発動され、バスの側線を強く刺激し、どんな悪条件下でも水面を割らずにはいられなくする。
故意に発動するにはプラッギング調整がとても困難で厄介だが、偶発的でも上手く低周波動10dBが決まれば必ず釣れる。
そんな夢のバス集魚装置内蔵プラグではないのかと...(笑)。

なんだか歳を重ねれば重ねるほど、目に見えない”何か”に強く刺激されるようになってきた。
....どうやら自分も側線が発達してきたようです。
完全にFAT BOYの低周波動に刺激されている。

このFAT BOYの太った体にはたっぷり「夢」が詰まっている。
これぞバスプラグだと、そう思う。